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地域HACCPの意味、今後の展開について
平成17年10月「気仙沼活性化計画に関するシンポジウム」での公演内容です。
美しい山、海の両方を持ち、その恵まれた自然の中で産業を営み、生活をする、ここ気仙沼は、地球という広い視野から見ても非常に価値のある場所です。ここ気仙沼の主な産業は水産業です。魚を獲ってそれを売りますが、私たち日本人は代々、この「獲る、売る」という作業の繰り返しだけではなく、そこに海の神への感謝の気持ちを込めて祭りを営み、魚の魂を弔うためにお墓を建てたりしました。
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◆平成17年10月に「気仙沼活性化計画に関するシンポジウム」が開催されました。

気仙沼、外から見た水産としとしての位置
〜地域HACCPの意味、今後の展開について〜   
  
有限会社フジタ企画
  代表取締役・水産学博士 藤田 八束
●愛すべき気仙沼の自然

 今も日本全国に多くの魚のためのお墓が残っています。これは、世界的にも日本にだけ見られる現象です。また、海や魚のための祠や神社なども残っています。そして、私たちは海や、魚に対してできるだけ負担をかけないように、つまり、環境を汚さないように努力して生活をしてきました。

(↑五十鈴神社)

環境問題は、今に始まったのではなく、人間の歴史とともにありました。しかし、私たち日本人の心が海や山、川からはなれていくと同時に、環境破壊は急速に進んでいます。人間が生活をすると環境破壊が進むのであれば、私たちはここを立ち去らなければいけないのでしょうか?そんなことはありません。日本人は、昔から自然と共存をしてきました。気仙沼地域HACCPは、食べること、特に基幹産業である水産を通して地域の自然、産業、教育も見直して、良い部分はより良く、改善の必要なところは改善をしていこうというプロジェクトです。私たちもここ気仙沼の自然と共存をしていくことを目指しています。私たちにとっては聞きなれたこの言葉も、世界にとっては新しい試みです。ぜひこの取組みを成功させて世界にそのノウハウを発信していきたいものです。

●食べ物の大切さ
 以前放送されたBBCのドキュメンタリー番組で、「すごい日本人」が紹介されていました。二人の日本人が取り上げられていましたが、そのうちの一人はコメディアンのダンディー坂野さん、もう一人はフロッピーディスクの発明者、ドクター中松先生でした。ドクター中松さんのインタビューを紹介しようと思います。インタビュアーが、「あなたを含め、たくさんの日本人が世界にとって有益な発明をすることができる。どうして日本人はそんなに頭がよいのですか?あなたは、日本人の頭のよさの原動力が何であると思いますか?」中松先生は「良い食べ物を食べているからです。」と答えました。インタビュアーは、確か「それは冗談でしょう。本当に秘訣を教えてください。」と聞いたと思います。中松先生は「日本には、昔から大変良い食べ物があります。食べ物が私たちの発明の元です。」と繰り返し答えました。結局、BBCは冗談として捕らえたようでした。

 この中松先生のコメントを単に冗談として流すのか、それとももう一度食の大切さを見直すのか、それは自由です。しかし、日本だけではなく、海外にも「食べたものはその人そのものだ」ということわざもあるくらいですから、それくらい食べ物は大切ではないかと思います。

 生産者という立場に戻って周りを見まわしてみてください。加工食品にあふれています。こんなに水産物に恵まれたここ気仙沼でも、そうです。食にはいろいろなバラエティーがあったほうが楽しいですから、加工食品も良いと思います。それに、生産者の立場から言うと、せっかくよい魚を市場に出しても価格面をはじめ、消費者の要望など応えなければいけないニーズが多く存在します。しかし、ただそれらを聞くだけではなく、魚そのものの価値、つまり鮮度やどこの海で獲られたのか、その海の状態などを説明してそれをも付加価値として認めてもらえるようになれば理想的です。加工するにしても原料は良いに越したことはありません。魚に価値をつけ、その価値を認めさせる知恵が必要です。価値が認められれば、気仙沼が都会から離れているということはあまり問題ではありません。まず地元の人に喜んで食べてもらい、そこから広げていけばよいと思います。


<水産物の有効性を考える>

日本の歴史を振り返ると、われわれの先祖は魚を有効に利用していることに驚いてしまいます。鯨など、頭の先から尻尾の先まで、ヒレ一部たりとも無駄にはしませんでした。大きな骨は橋の建材として使用されました。食べられない部分をも利用する。今となっては考えられない、すばらしい知恵です。今、「もったいない」はそのまま日本語で世界に通用する言葉となっていますが、まさに「もったいない」という精神がそこには息づいていました。

 では、私たちの食卓へと視線を戻してみてください。かつおのたたきを例に取りましょう。かつおをたたきにするために頭、骨、内臓を除去します。かつお一尾を100とすると後の50だけがたたき、刺身としてこの町から旅立ちます。

 しかし、今捨ててしまった部分は、本当に「ゴミ」なのでしょうか?捨ててしまうのはもったいないと思いませんか?魚の機能性物質DHA,IPA,アンセリン、タウリン、医薬品として開発されているこれら成分が捨てられた部分に豊富に含まれています。たとえば、魚の皮、骨にはコラーゲンが豊富に含まれています。目の周りにはコンドロイチン硫酸が豊富です。宝物のようなこれらの部分が廃棄されています。しかし、これらが無造作に廃棄されているとは思えません。もったいないなと思いながらも仕方がないので廃棄しているのではないでしょうか。ですが、消費者のニーズは変りました。おなかを満たすだけではなく、健康になりたいと願っています。私たちも、お魚全体を利用する方法を考える必要があります。

 <食を通じて教育する>
 ここまで、捨てていた部分を「加工残渣」としてではなく今後は「食品」として見ていきましょう、そうするには知恵が必要です、という話をしてきました。先日、気仙沼のお寿司屋さんでいただいたかつおの頭のおすましは大変おいしかったです。考えてみると、このスープはおいしいだけではなく、栄養的にも最高です。煮詰めることにより、DHA,IPA,アンセリン、タウリン、コンドロイチン硫酸、コラーゲンがどんどん出てきます。カルシウムもいっぱいです。とにかく知恵を使い、健康のためにおいしいものを用意しました。食べてください、とアピールすることがこの町にも必要です。鳥とブレンドしても、他の何かと組み合わせたり、色々工夫をしたりしてみておいしくて良いものを作る工夫をするのです。

 他の産業に目を移してみても、みな工夫をしていることが分かります。焼肉屋さんも、タレを開発し、韓国のキムチと一緒に出したり常に勉強をしています。脂ののらないカツオにポン酢をつけて食べる食べ方は関西が発祥だそうです。気仙沼では素材そのものが良いのですから、素材そのものをそのまま利用するという手がひとつと、その素材をシンプルに加工するというのももうひとつの手です。カツオを使った料理のコンテストをするのも面白いかもしれません。そしてそのレシピをインターネットを使って発信する、インターネット全盛の時代だからこそ、紙に印刷してレシピ集を作るのも良いでしょう。特に、中学生や高校生、学生の斬新なアイディアには注目したいものです。若い人が「行ってみたい」と思える街づくりにもつながると思います。そのアイディアに気仙沼のPRなど沿えて世界に発信してみてはどうでしょうか。海外に出ると、多くの人が魚の調理方法や、海藻の調理方法を聞いてきます。知的層には完全に「日本の食の知恵はすばらしい」ということは浸透しています。世界の人々と交流できれば、学生にとってもこれ以上ない刺激になるでしょうし、説明するために日本についてももっと知りたいと思うはずです。そんなすばらしい勉強ができるところが気仙沼にあると分かれば多くの学生が集まってくるのではないでしょうか?これは気仙沼の活性化にもつながると考えます。

 世界には気仙沼のような地域がたくさんありますし、また、自然と共存してきた日本人の知恵を知りたいと思う若者がたくさんいます。戦後日本は海外からたくさんのものを輸入したり、考え方をも導入して、それはそれでよかったと思いますが、これからは「発信していく」時代です。海外の町と提携するなど、具体的に考えてみてはどうでしょうか。

●北海道標津町での取り組み紹介> 

平成10年、「いくら」の0−157による食中毒事件が発生し、風評被害もあって北海道のいくら業者が大きな損害を受けました。結果的に、安全性の証明は出来ませんでした。そこで考えたのが、町として安全で安心できる食料基地作りをするという、標津町地域HACCP という取り組みでした。そしてこの取り組みは、自然環境との共存に行き着きました。

標津は日本一の鮭の町です。4年経過すると、稚魚たちは大きくなって帰ってきます。町の人は鮭たちが帰ってきたい海、子供を産める綺麗な川を守ることが大切であるということを知りました。

 鮭の命あってこそ生活していることを子供たちも大人達も知りました。鮭たちに何をしなければいけないか、おのずと答えが出てきます。こんな取り組みは広く知られるようになりました。修学旅行のコースに選ばれ、沢山の子供たちが標津を訪れます。鮭を釣り、料理をします。標津の子供たちは必死で魚料理をお母さんに教えてもらっています。三枚に卸すこともできるようになりました。

 私は、一度アメリカの小さな町でこの取組みを具体的に紹介したことがありますが、人々が一番驚いたことはなんだと思いますか?それは「水とデッキブラシだけで船を洗浄することで本当にきれいになるのかをデータを取って確認した。」という点でした。彼らは言いました。「私たちは、そんな原始的な方法より、衛生を保つためには洗剤を使わなくては、とか最新式の器具がいると思っていました。しかし、標津町の漁師の取組みは“海は絶対に汚したくない”というところから始まり“海を絶対に汚さない”という気合いにあふれている。そのために科学が、海水とデッキブラシだけでいい、ということを証明しに行ったところがすごい。なんて新しい科学のあり方なのでしょう。」環境科学専攻のこの学生は本当に驚いた、と言っていました。今年は大収穫だった、と興奮していたのです。

標津町や気仙沼がそのリーダーになるという時代が来るといっても少しも大げさではありません。

(文・構成:藤田佳子)

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